9. 2023年新設される省庁に注目
子ども政策の司令塔「こども家庭庁」の設置関連法案が2022年6月15日の参院本会議で、与野党の賛成多数で可決、法案が成立しました。これにより、こども家庭庁が2023年4月に新設されることになります。
こども家庭庁設置法(令和4年法律第75号)の概要
(趣旨) こども(心身の発達の過程にある者をいう。以下同じ。)が自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現に向け、子育てにおける家庭の役割の重要性を踏まえつつ、こどもの年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とし、こども及びこどものある家庭の福祉の増進及び保健の向上その他のこどもの健やかな成長及びこどものある家庭における子育てに対する支援並びにこどもの権利利益の擁護に関する事務を行うとともに、当該任務に関連する特定の内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることを任務とするこども家庭庁を、内閣府の外局として設置することとし、その所掌事務及び組織に関する事項を定める。
こども家庭庁は岸田総理の直轄組織となり、厚生労働省や地方自治体、民間からも職員を集い、300人規模の体制となる見込み。
首相官邸HPでは“子育て支援に関する岸田総理からのメッセージ”が掲載されています。
岸田政権は、希望する方が、こどもを産み、育てやすい社会を実現します。
この4月から、不妊治療が保険適用になりました。不妊でお悩みのご夫婦の方は、ぜひお気軽に各都道府県等の相談センターまでお問い合わせください。出産育児一時金についても、引き上げに向けて努力をし、妊婦の皆さんが安心して出産できる環境づくりを進めます。
また、待機児童の解消、学童保育の拡充、男性の育休取得なども積極的に進めます。
これからも、「仕事か子育てか」の二者択一を迫られることなく、男女ともに「仕事と子育てを両立」できる社会づくりに向けた取組を進めていきます。
「来年4月にこども家庭庁を設置する」法案が成立しました。児童の虐待や子供の貧困などの問題について、省庁縦割りを打破し、今後は、こども家庭庁が司令塔となって、こどもを「真ん中」に据えた社会を実現します。そうした中で、こども予算倍増に向けた取組を進めます。
社会全体で、こどもを支える。そんな未来を作るため、全力で取り組みます。
引用:首相官邸HP/子育て支援に関する岸田総理からのメッセージ
こども家庭庁は子ども真ん中社会を掲げ、少子化や児童虐待、貧困などの課題にも総合的に対応できるように内閣府の外局として設置され、厚生労働省と内閣府が所管する子ども・子育ての主な部署を移して行政の縦割り解消を狙うものです。
<こども家庭庁のイメージ>
「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針(概要)(内閣官房ホームページ)(当該ページのURL)を加工して作成
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_seisaku/pdf/kihon_housin_gaiyou.pdf
岸田総理は子ども政策を複数の省庁に分散させるのではなく、一元化することでスムーズになるように進めようとしていましたが、いじめ問題、不登校など学校での教育分野は引き続き文部科学省が担い、保育所と幼稚園の施策を統合する「幼保一元化」は見送られたようです。
また、こども家庭庁と一緒に、子どもの権利を守る基本理念である「こども基本法」も同時に成立しました。
こども基本法案(衆第二五号)(衆議院提出)要旨
本法律案は、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、次代の社会を担う全てのこどもが、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、その権利の擁護が図られ、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会を目指して、こども施策を総合的に推進しようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。(省略)
子どもを真ん中に据えた社会の実現に向けた第一歩ですが、財源確保についてまだ明らかにされていません。安定財源の確保に向けた議論は参議院選挙(2022年7月10日投開票)の後、本格的に始まります。
今後の活動に注目していきましょう。