代表理事月報(2024年5月)

”予算が無いので..”

仕事柄、入札に関する相談を良く受けることがあります。

入札担当者は、一般的に、入札を行う企業(組織)において疎外感を感じることがあり、ある時期から孤独感が広がることがあります。
これは、BtoBやBtoCビジネスとは異なり、経験豊富な人材が社内外に少ないため、助言を求めても適切な相手がいないからです。
また、入札経験者がいたとしても、企業向けの事例とは異なり、情報共有が難しいこともあります。
これは、入札プロセスにおける「談合」などのグレーゾーンを避ける雰囲気が根強くあるためです。
さて、相談を受けると、自治体への提案活動を行い、自社製品やサービスの担当者にすることに関する悩みがよく聞かれます。

多くの場合、「提案は興味がありますが、予算不足のため継続的な提案が難しい」という返答が返ってきます。
担当者は、自治体の単年度会計を理解しており、当年度の入札公告は予算上の制約があることを理解しています。
そこで、「来年度の予算を見据えて再度提案させてください」とお願いすると、「3年後なら何とかなるかもしれません」という回答が得られます。
多くは素晴らしい提案です。私は、提案内容を以下の5点から評価しています。
・地域性(差別化)
・安全性(安心)
・公平性
・継続性
・経済性
入札は、住民の税金で賄われるため、地域住民に対し、未来に続く提案と情熱が判断の基準となります。
「予算が無いので」「3年後なら」は、予算化を決定する役所職員にとって避けられない返答かもしれませんが、ここで諦めずに活動を続けるようアドバイスしています。

企業への営業においては、この返答が断りを意味することが予想されますが、それを覆す方法はいくつかあります。ただし、自治体においては活動を休止することがほとんどであり、担当者の情熱が薄れることは避けられません。

このようなことから、私は入札を始める会社の幹部に必ず
「3年間は結果が出なくても我慢してください。短期で結果を求めるのならば入札を行うべきでは無いと考えています。」と答えています。
それは企業の求める短期的な売上、利益をステークホルダーに説明が出来ないのも事実です。

だからこそ、入札を始める会社の幹部の人には、入札の基本理念である地域づくりにおける貢献の一助として捉えて頂きたいことを切に望んでいます。

今月はここまで。

2024年5月

代表理事 青柳恭弘