代表理事月報(2022年11月)
前月の月報にて「入札白書」発刊について報告をしましたが、少し追加させて頂きたく今月も「入札白書」発刊続編としたい。
オッサンについてあることから調べ始めたら、
・古い価値観に凝り固まり、新しい価値観を拒否する
・過去の成功体験に執着し、既得権益を手放さない
・階層序列の意識が強く、目上のものに媚び、目下の者を軽く見る
・よそ者や異質なものに不寛容で、排他的
引用:劣化するオッサン社会の処方箋 山口周著 光文社新書
とあり合点がいった。
最初は流し読みをしたが、最後まで読んで再度このページに戻り、メモを取った次第である。
著者はこの要因として「フィードバックの欠如」という言葉で示している。詳細は著書を一読願いたい。
入札総合研究所の設立の理由は、古い友人が「入札は反省と検証が無い制度」という思いもしない言葉を投げかけられたことに起因している。会社勤めをしていた私にとって、検証はPDCAのCheckに該当し、何事においても基本的な行動であり活動である。
入札は日本における最大の調達制度であり、古くは江戸時代から制度として始まったとされる。歴史ある制度にも関わらず、入札の予算については各発注機関から報告が公にされており、何をどのような目的でいつ公示し落札をしたのか。については詳細に閲覧することができる。
ただし、落札された調達に対しては、その後についての報告(ここでは検証と言う)はほとんど目にすることは無い。私も友人の勘違いと思い、発注側の人間にヒアリングしたところ、バツ悪そうに「確かにそうなんだよ」との返答のみである。
この巨大市場を司る制度において「検証」がほとんどされてないことに疑問を持ち始めたことが入札総合研究所創業のきっかけにもなっている。幼子の「なぜなぜ」を繰り返し親を困らせている事象と同じである。
開業前、開業後に勉強のため役所、大学等にて入札について学ぶために、問い合わせをかけると殆ど門前払いであり、当初は多忙のためと思ったがどうやらそうでは無いことが少しずつ分かってきた。
多くの知見者、経験者において「入札」=「談合」であり、それを調査、研究する専門団体であるとの推察のもと当然の門前払いになったと理解している。
このやり取りについては、醜いものもあったが今回は「検証」が主語であるため記述しない。
その思いが今回の「入札白書」の発刊となった。私達が「検証」に対しての拠りどころとしたのは、事実つまりファクトデータからの仮説検証アプローチである。推論ではなく事実からの積み上げにて立てる仮説をもとに入札を見てみることで、様々なことが見える視野の公開である。
まだまだ執筆段階ではある鮮度の高いデータをいち早く皆様のご提供するために入札ビッグデータを活用し一語、一語を丁寧に執筆する所存です。
今月はここまで。
引用:
「公共工事の入札契約制度の変遷と今後のあり方に関する考察」
建設マネジメント研究論文集Vol.152008
公共工事の入札契約制度は、江戸時代において請負業が成立して入札が行われるようになって以来明治時代を経て現在に至るまで、談合や安値受注を防止するために、修正に修正を重ねる歴史を歩んできた。
「検証」広辞苑
けん‐しょう【検証】
(verification)
①実際に調べて証明すること。
②〔論〕ある仮説から論理的に導き出された結論を、事実の観察や実験の結果と照らし合わせて、その仮説の真偽を確かめること。
③〔法〕証拠資料たる事物・場所の在否および状態を裁判官や捜査機関が直接確かめる行為。「現場―」
2022年11月
代表理事 青柳恭弘