代表理事月報(2022年5月)

桜前線が東北以北に舞い降りている美しい季節になりました。多くの新入生、社会人が新たなスタートを開始しており、入札も予算が決まり多くの計画が公示に向けて新たな蕾が花を咲かせようとしております。

そんな中、高校時代の愛読書であった遠藤周作著「沈黙」の舞台になった長崎に行きたい気持ちが抑えられず、気まぐれではありますが長崎の地に降り立ちました。読後40年以上長崎には数回仕事にて訪れましたが、隠れキリシタンの集落や教会は避けておりました。

「沈黙」をお読みになった方はお分かりのように日本におけるキリスト教布教活動と日本(特に長崎)での信仰においては様々な弾圧と日本独自の無神論にて欧州とは違う独自の信仰が成されていました。遠藤周作が書いた「神は存在するのか」「神は私達に寄り添い」について気持ち的、精神的にその地を見て感じてみました。

ここは書評の場では無いので詳細は割愛しますが、長崎で最後に訪れた大村湾にて一人夕日を眺めて今回の旅について考えていたところ、対岸に大村ボートレース場がなんとなく見えました。後で調べると大村市はボートレース発祥の地であり今年で70周年を迎えるそうです。

公営競技の歴史も古く日本政府公認では1906年に競馬が池上競馬場にて始まり、その後、1948年に福岡県小倉市(現:北九州市)で初めて競輪が開催され、1950年に千葉県船橋市で初めてオートレースが開催され、1952年に長崎県大村市で初めて競艇が開催され、公営競技の種類が増えていった。

新たに加わったこれら3競技は、GHQが全国組織を認めなかったため、国ではなく地方自治体による実施となり、公営競技と地方自治体は切っても切れない関係を醸成させて地域の財源、地域経済を支えるものとなっております。公営競技と市政という中々結びつかない2つの事象が絆となることでその地域を盛り上げ、人々の欲求を満たす豊かな生活の支援となっていることは過去の公営競技財源にて作られて建造物、社会基盤など自治体のホームページを覗くと良くわかります。

視点を固定して視るとギャンブルの側面しか見えてきませんが、視野を変えて見ることで地域経済の要であり市民と共に成長するための財源であります。二つの矛盾した視点ではありますが視座を持ち見ることで、様々な側面と背景の起因を知ることが可能となります。

長崎にて信仰と棄教という背理する事柄は決して善悪では語れないことを「沈黙」を再読し、隠れキリシタンの集落を訪れその温度と景色にて感じた次第です。

今月はここまで。

「ボートレース大村70年目の春」大村ボートレース場の歴史と市政との関わり動画

2022年5月

代表理事 青柳恭弘