代表理事月報(2023年3月)

「ならぬことはならぬものです」

幼少の頃父の申し付けで剣道を始め道場へ通っていた。  練習後の館長講和にて師範が訓話したこの言葉を最近良く思い出す。  会津藩校日新館での什の掟であり、年下に申し伝えるため什長(1)は毎日その掟を守っているか確認していたとのことである。

一、嘘言(うそ)を言ふことはなりませぬ

一、卑怯な振舞をしてはなりませぬ

一、弱い者をいぢめてはなりませぬ

上記は抜粋であるが、「ならぬことはならぬものです」を行うために日々日新館に通い鍛錬していたことが伺われる。

2022年年末からのニュースは東京オリンピック・パラリンピックの入札に対する談合問題であり、カーボンニュートラルの重要ファクターである太陽光パネルの横領である。両方とも東京地検特捜部が取り扱う重要な問題であり、入札についての調査・研究を行う入札総研において切り離せないものである。

両方に共通していることは、高偏差値(名門大学出身)、国との繋がり(国家事業、国家施策)、行った悪事への反省は見られない点である。

特に入札に関しては、平等で開かれた制度であり、特権、利権や忖度を排除が公平を示すためにも必須であり、過去から繰り返し制度への監視、不正を見逃さないスキームを確立してきている。

什の掟には、

一、年長者(としうえのひと)の言ふことに背いてはなりませぬ

一、年長者にはお辞儀をしなければなりませぬ

と一番初めにある。これは、見本となる年長者が什の掟を守り形にしているから年少者に通じることである。

国の権力と権威を振りかざして行う不正は決して許されるものではない。

今の時代は属性条件を排除し平等な視野で見ることで、新たな可能性や広がりそして人への思いやりを醸成していく時代である。

そんな時こそ過去の歴史から学び襟を正したいとものである。

年度末である3月に新年度に向け再度同じことを繰り返さない理念を再確認して今後も入札の調査・研究を進めることを自省の念で書き連ねた。

「ならぬことはならぬものです」

(1)同じ町に住む六歳から九歳までの藩士の子供たちは、十人前後で集まりをつくっていました。この集まりのことを会津藩では「什 (じゅう)」と呼び、そのうちの年長者が一人什長(座長)となりました。

詳細は、https://nisshinkan.jp/about/juu

をご参照ください。

今月はここまで。

2023年3月

代表理事 青柳恭弘